鼻水や鼻づまり、においが分かりづらい等、鼻の症状についてご相談ください。ぶつけてしまった等、鼻の骨折が疑われる場合はレントゲン撮影もしております。
急性副鼻腔炎
鼻粘膜の粘液の潤滑性が急激に悪くなっている状態。いわゆる風邪から生じることが多い。主な症状は、急激な鼻詰まりや黄色い鼻汁が出たり、ひどい顔面痛(眉間や頬など)や頭痛(こめかみや後頭部)を生じることがあり、痛み止めが効かないこともしばしばあります。また嗅覚が落ちたり、後鼻漏が喉に回り込むことでとくに就寝時の咳が強く眠りづらくなることもあります。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎の反復や水分摂取が少ない人などによく見られ、徐々に鼻粘膜の粘稠性が高くなり、強い鼻づまりや嗅覚低下で息苦しさを訴えるようになります。副鼻腔内から溢れた粘稠な鼻汁が後鼻漏となって常に喉に回り込むことで空咳や咳払いが慢性的に続き、睡眠の質が落ちたり、昨今の新型コロナウイルス感染症と区別がつかなくて間違われたりなど日常生活に支障をきたすことがあります。
アレルギー性鼻炎
通年性と季節性に分類されます。通年性で最も多いのがダニアレルギーで全国でみられ、中でも沖縄はダニにとって気温や湿度の点で国内で最も生息環境に適しています。そのため沖縄では多くがダニによるアレルギーでしたが、何故か近年は患者さんの鼻粘膜に蒼白腫脹というアレルギー特有の所見が年々減ってきており、抗アレルギー薬を投与する必要性が極端に減ってきているのが現状です。また季節性で最も多いスギ花粉症は沖縄県内では花粉症を生じるほどのスギの自生がないので実質的な花粉症はみられません。
鼻ポリープ(鼻茸ハナタケ)
鼻の内部や副鼻腔内の粘膜が部分的に著しく膨隆したもの。大きくなるとひどい鼻詰まりから睡眠障害や嗅覚障害、高度のいびきを生じたり、難治性の中耳炎を引き起こすなど生活に支障をきたすこともあります。点鼻薬や内服薬で少し軽減される方もおりますが、重症な場合は手術が必要になることもあります。
血管運動性鼻炎(クーラーなどの冷たい空気、寒暖差の刺激による鼻症状)
温度などの周囲環境の急激な変化に対して反射的にくしゃみや鼻水などを生じる鼻炎です。しかしいわゆるアレルギー反応ではないため、抗アレルギー薬はあまり効きません。寒い時の鳥肌と同じ反応であり自律神経の反射とも考えられます。鼻粘膜の表面の粘液量が減っている人に多くみられます。つまり体内の水分量が相対的に少なくなっている人に起こりやすいようですので、積極的に水分摂取を増やすことでも改善することが多いです。
嗅覚障害(ガスなどの危険察知、美味しく食すために)
何らかの理由で匂いが鈍くなる状態で原因は様々です。風邪の後や副鼻腔炎によって生じることが多いです。また薬剤性、脳の障害などが原因のこともあります。いずれにしても原因に合わせた治療を行う必要があります。嗅覚が落ちると認知症を促進するといわれていますし、最近では新型コロナの影響もあり得るようですので、積極的に原因検索と早期の改善を目指した方がよいと思います。当院では漢方薬とステロイド点鼻薬を併用した治療を主に行っています。
鼻中隔湾曲症
鼻の中にある軟骨でできた仕切りが成長と共に歪んでしまったもので、わずかな歪みは誰にでもあるのですが、高度に屈曲して、ひどい鼻詰まりの原因になっている場合は手術が必要になることもあります。また同じ部位から何度も鼻出血を生じることもあります。鼻づまりの要因の一つですが、生活に支障がなければ手術に踏み切る必要性は低いと思います。
鼻出血
多くの場合が鼻粘膜が乾燥しているところに指やティッシュペーパーで摩擦が加って起こります。極端に乾いている場合は鼻をモゾモゾと動かすだけで出血することもあります。ごくまれに遺伝性が原因の病気がありますが、家系が判明しているので容易にわかります。出血したときは、鼻の側面から反対側に向けて鼻中隔を圧迫するようにして5分間以上圧迫し続けると大抵は止まります。
鼻腔異物
小さいお子さんによく見られますが、ビーズや豆や消しゴムなどを取り出すことがあります。なるべく早めに取り出さないと、泣きじゃくって鼻から息を吸い込むときに気道すなわち肺に吸い込まわないうちに取り出さないといけないです。注意しないといけないのはボタン電池など通電するものや粘膜を痛める素材のものはなるべく早く取り出さないといけないこともあり、何が入っているかを急いで確認する必要があります。
副鼻腔真菌症
副鼻腔内に真菌(いわゆるカビ)が発生し、痛みが強く、重症化すると周りの骨を壊すこともある危険性のある病気です。治療の中心は内視鏡手術による病変の除去及び術後の鼻腔洗浄による再発予防となります。副鼻腔炎よりも顔面痛が強く、発生する部位や重症度によっては緊急的に内視鏡手術を行うこともあります。
好酸球性副鼻腔炎
比較的新しい疾患概念です。白血球のなかの好酸球成分が過剰となり、鼻汁がにかわ状に硬くなったり、両側の鼻の中に多発性のポリープを生じて強い鼻詰まりを生じたりします。手術をしても再発しやすい難治性の副鼻腔炎で、ステロイドの内服薬を併用することがあります。 <診断が確定した場合は県の難病に認定され、治療費の支援が受けられます。>
鼻骨骨折
転んで顔面から地面や構造物にぶつかったり、野球の硬球を当ててしまったりなどで、ちょうど鼻の尾根の部分を構成する鼻骨を折ったもの。変形が強く外見に著しい変形を生じたり、強い鼻づまりを来したりした場合は手術を行うこともあります。亀裂が入る程度の軽度の骨折の場合は、何も触らなければ自然と治りますので、重症度と緊急度により治療法が異ります。
眼窩底吹き抜け骨折(ボール・頭がぶつかる・拳)
ボクシングや喧嘩などで拳が眼に当たったり、ボールが眼に当たった場合などに、眼球を入れているくぼみの下の床の部分が、瞬間の圧力で亀裂骨折を生じてしまい、眼球周囲の脂肪組織の一部が上顎洞内部に落ち込んでしまうもの。場合によっては眼球を下向きに動かす筋肉が亀裂に挟まってしまい、眼球の上下動に制限が加わった場合は手術で修復する必要があります。