口内炎やのどの炎症、声が嗄れる、耳の下が腫れる等、口やのどの症状についてご相談ください。声のお仕事をされている方等には男性コーラスをしている院長より声の出し方のアドバイスをいたします。
口内炎(扁桃の影響)
頬の内側の粘膜や舌など口の中に生じる炎症反応の総称。痛みが強く、経口摂取や会話に支障を生じ、日常生活に支障を来たします。
急性化膿性扁桃炎
口蓋扁桃に細菌感染を生じ、膿みが多數付着し、高熱と強い痛みを生じます。経口摂取に支障を生じ、食事はおろか水を飲むことも困難になることもあります。抗生剤や鎮痛解熱剤、うがい薬などで治療しますが、重症な場合は点滴を行うこともあります。
慢性扁桃炎(掌蹠膿疱症)
扁桃炎のうち、高熱と咽頭痛を年に数回も繰り返す場合を習慣性扁桃炎といい、手術適応となります。また症状はごく軽いにも関わらず微熱や手のひらや足の裏に小さいプツプツを生じる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という皮膚の病気に代表される病巣扁桃感染症の方は、扁桃摘出術をすることで95%の方が軽減もしくは消失します。
耳下腺管炎(食事のときに腫れて治るを繰り返す)
耳下腺から口の中につながっている耳下腺管が、その出口<(口の中)>が炎症などにより詰まり、唾液が耳下腺内で貯まってしまう病気です。小児から年輩の方までみられ繰り返すこともあるため反復性耳下腺炎と混同されることも多いのですが、次項のムンプスウイルスによるおたふくかぜとは異なります。<比較的耳下腺が柔らかいのが特徴です。>いわゆる口内炎の治療をすることで軽減することが多いです。
耳下腺炎(おたふくなど)
有名なのがおたふく風邪で、両耳下腺や両顎下腺とも腫れることもあります。 40℃を超える高熱や全身倦怠感が強く、安静と鎮痛解熱剤服用などの対症療法のみとなります。また、おたふく風邪ウイルスによる合併症として、ほとんどは片方の耳ですが完全に聴力を失うことも稀にあります。残念ながら、事前に予測することもできず、また失った聴力を回復させることも現代の医学では不可能というのが現状です。子供に見られる現象ですが、<片方のみの場合は>学習に大きく影響することはほとんどないので、残った健常な耳を大事に扱うようご両親にアドバイスをしています。
扁桃周囲膿瘍(扁桃周囲炎の悪化・抜く)
ほとんどが片方の扁桃に生じますが、扁桃の外部に細菌感染が進展し膿が大量に増殖し 軟口蓋(のどちんこの外側)が著しく腫れ上がり、強い痛みで嚥下困難となり、口を開けることが困難となります。重症な場合は、粘膜を局所麻酔した後に針を刺して膿を抜くこともあります。抗生剤の点滴が必要になることも多いです。重症化すると膿が首から胸まで広がることも起こり得るため、迅速な診断と治療が必要となります。
口腔カンジダ症
主に扁桃周囲から喉ちんこに白いカビが付着し増殖します。支喘息治療薬のステロイド吸入薬を口から吸入している人でしっかりうがいをしていない方に時々見られます。また年輩の方で水分をあまり摂らない方で口の中が乾いている方にも見られることがあります。ステロイド薬が喉に残っていることで表面の免疫力が低下することでカビが増殖するもので、呼吸や嚥下で体内に取り込むと全身疾患にもなりかねないですので早めの治療が必要となります。
咽頭異物(魚骨など)
魚骨などが多く、異物が扁桃や咽頭粘膜に刺さったり、舌根部に異物があることで経口摂取に支障をきたすような場合は、経口的に道具で摘出します。痛みや嘔吐反射が強ために経口的な摘出が困難な場合は鼻から挿入する処置用ファイバー(県内の耳鼻咽喉科で用意しているクリニックは少ない)で摘出することもあります。
急性喉頭蓋炎(重症化すると短時間のうちに窒息の危険あり)
舌の付け根部分にある喉頭蓋(食べ物を気道に入れないための蓋のようなもの)に炎症を生じるものをいう。重症な場合は唾を飲み込むことすら出来ず、喉頭蓋がボールのように腫れると気道を塞いでしまい窒息の危険もあります。唾液を全く飲み込めなくなり口から唾液が垂れてきているようなときはこの病気の可能性が高いですので、喉頭ファイバーで観察して窒息の危険性の有無を迅速に判定する必要があります。重症例で窒息の危険性があると判断された場合は緊急入院の上、気道確保が行われることもあります。
急性声帯炎(声がれ)
声帯が急激に腫れて声が出なくなる状態をいいます。声の濫用(大声の出し過ぎ、力ませの発声)や咳や咳払いのし過ぎなどで声が枯れている状態。問診と喉頭ファイバーなどの検査により原因を明確にし、発声の指導及び薬物治療を行います。
声帯ポリープ(声が割れる)
声帯に柔らかいポリープが生じて声が割れてしまう病気。喉頭ファイバーで観察して確認できます。発声法の指導や薬物治療で改善ない場合で、生活や仕事で支障をきたす場合は、手術でポリープを摘出することもあります。
声帯結節(声がれ)
声帯にペンだこのように硬い隆起ができる病気。両側の声帯の接する部分に生じることが多い。急性声帯炎のように声の濫用で生じることが多い。小児の声枯れにもよくみられますが小児の場合は自然軽快することが多く、積極的治療に至らないことがほとんどです。それ以外の年齢の場合は声がれの程度と生活もしくは仕事の上での支障度合いが著しい場合は手術が行われることもあります。
ポリープ様声帯(喫煙との関連、稀に癌化)
声帯がブヨブヨと腫れぼったくなり、声も低くなります。喫煙なども要因のひとつとなるため禁煙指導も含めた内服治療が基本となりますが、上記二つの声帯の病気と同様に生活や仕事で支障をきたす場合は手術が行われることもあります。この疾患の場合、稀に癌化することも報告されており、定期的な声帯観察が必要となります。
舌がん
舌にできた口内炎部分などが癌化したもの。るいるいとした隆起性や陥没するなど形態は様々である。痛みがある場合とない場合もある。特徴ある所見の場合に組織検査が必要。
中咽頭悪性腫瘍(中咽頭がん、扁桃悪性リンパ腫)
中咽頭とは両口蓋扁桃や喉ちんこを含む軟口蓋と舌根部扁桃を指し、これらの部位に生じるもの。咽頭違和感やものが飲み込みにくいという症状が主です。いわゆる癌と扁桃悪性リンパ腫などがあり、組織のタイプにより治療方針は異ります。扁桃悪性リンパ腫の場合は全身の悪性リンパ腫の合併の有無などについても同時に評価することもあります。
下咽頭がん(飲酒の関与、手術)
食道の入り口の部分にできたもの。度数の高いアルコールの摂取(特に常飲)の習慣が影響が強いとされています。中咽頭悪性腫瘍と同じく咽頭違和感やものを飲み落としにくいという症状や、声帯のすぐ近くの部分のため大きくなった場合は声が出しにくくなることもあります。
喉頭がん(喫煙の関与)
主に声帯にできたもの。声がれが特徴的な病気です。多くは喫煙が影響します。スモーカーに多く見られますので、声がおかしくなったなと心配な方は早急に耳鼻咽喉科を受診し、喉頭ファイバー検査を受けて欲しいと思います。早期の場合は放射線治療と抗癌剤治療で手術をしなくても治癒が可能となることもあります。